10人に1人は、うつ病になる?

10人に1人は、うつ病になる時代と言われています。厚生労働省の統計によれば2008年は、約104万人の方がうつ病として医療機関を受診しています。

実際には、違う診断名(自律神経失調症など)がついたり、まだ医療機関に受診していないケースも考えられるため、この数字より多くの方が実はうつ病なっていると考えられます。

なぜ、うつ病になるのか?

うつ病の要因となることは、さまざまです。

一般的には、不幸な出来事やショックな出来事などがマイナス要因が原因と考えられがちですが、幸せとなるはずの結婚や昇進、また妊娠などが要因となる場合もあります。

現在、日本の労働者におけるうつ病等などの精神疾患の現状は、労災保険・障害年金の申請件数は年々増加しており、過労死を招いたりすることもあり社会問題化しております。

この背景には、IT化が進んだことや、生産の質より量、そして人材不足などにより、1人にかかる業務量が膨大になったことや、サービス残業などの身体的疲労と負担の増加したこと。

また、いじめ・パワハラの増加(労働基準監督署相談が平成25年度1位)、有期雇用・派遣などの非正規労働者の増加に伴う、不安定な雇用環境、労働力の海外移転による低賃金化による生活不安など、精神的不安の増加したことが考えられます。

こういった、過剰の身体的疲労や慢性的な精神的疲労により、うつ病などの精神疾患を引き起こしているものと思われます。

すぐには、うつ病とは診断されない。

多くの人の初期症状は、眠れない、頭が痛い、下痢が続く、体の痛みなどの何らかの体調の異常を感じ、それがなかなか治らない場合になり、仕事に支障が出てくるようになって、初めて内科等の医療機関を受診することになります。

そして、ほとんどは疲労やストレスが原因と言われ、『うつ状態、自律神経失調症、適応障害、不安障害』などと診断され、処方された薬を服用して様子を見ることになります。

通常は薬の効果や自己治癒力などで、だんだんと治っていくことが、望ましいことなのですが、なかなか治らない、悪化してきたとなると、うつ病の疑いがあります。期間で言うと3ヶ月ぐらい経っても治らないという場合が、ひとつの目安になる思います。

この場合、主治医のきちんと症状を伝えるとともに、必要であれば紹介状を書いていただき、精神科等の受診が望ましいと思います。

うつ病の場合、長期になればなるほど、治りにくい病気です。6ヶ月~1年程度で治らなければ、本格的に治療に専念する必要性が出てきます。

この場合、お仕事をしている方であれば、有給を使って療養するか、休職して療養せざるをえません。

場合によっては、退職・休職期間満了・解雇により会社を辞めるケースもあります。

治療は、早期発見・早期回復が一番です。

『厚生労働省 うつ病に関するサイト』

ドクターショッピングのすすめ

ドクターショッピングとは、医療機関を次々と、あるいは同時に受診することをいいます。

病状がなかなか治らない場合、「実は別な病気なのでは?」と疑いをもち、循環器科や整形外科、脳神経外科など他の医療機関を受診したり、しようと考えます。

一般的にドクターショッピングは、良くないことと言われますが、私自身はそうは思いません。

同じ医療機関や、似たような他の医療機関に何度も何度も受診したり、医師にしつこく攻めることは問題ですが、治らない病状に対し、違う病気なのではないかと疑いを持つことは自然なことであり、結果として異常が見つかれば、その異常が原因ですから、それを治せばいいことになり、精神疾患は否定されることになります。

逆に異常が発見されない場合は、結果として他の病気が否定され、精神疾患の可能性が高まることになります。実際、ご相談者の多くは、医療機関を複数受診しており、これが障害年金請求を困難にしていることがあります。

メンタルクリニックと精神科

昨今のこころの病気である精神疾患の急増で、精神科の医療機関も増えてきました。

以前まで、精神科とは閉鎖的で近づきがたい印象がありましたが、最近の精神科は、明るい雰囲気で、一般の医療機関と変わりはありません。むしろ、一般の医療機関よりも、気持ちを穏やかにさせる雰囲気づくりをしているところもあります。

また、『精神科』という名称を用いず『○○メンタルクリニック』という医療機関名にして、『精神科』という言葉に印象を和らげようとしています。

メンタルクリニック・精神科を受診しようとすることに抵抗をお持ちの方もいると思いますが、なんら抵抗感を持つ必要はありません。

10人1人がかかる時代です。メンタルクリニック・精神科にいる方は、同じような病状・悩みを持った方々しかいません。そpして、医師も医療スタッフも精神疾患に理解がある方が働いています。

注意が必要なのは、昨今の精神疾患の急増により、いざメンタルクリニック・精神科に受診しようと思っても、1カ月先でないと空いていないということもあります。

そのため、思い立ったら早めの行動をお勧めします。

札幌医師会 医療機関検索サイト

伊藤社労士事務所

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